『ビーバー族のしるし』エリザベス・ジョージ スピア 作 こだまともこ 訳
なんでもっと早く読まなかったのだろう、と何度も思うくらい、私の好きな話でした。
舞台は1768年春の、北アメリカ、森の中。
マサチューセッツ州から、移住してきた白人の少年マットが主人公です。
フロンティアとして最初にその森へ、父とともにやってきたマットは、
共にとうもろこし畑を作り、丸太小屋を建てます。
そして、次に課せられたのは、父が他の家族を迎えにいって
帰ってくるまでの留守番です。
父のいない間にひとりで13歳を迎えたマットを、遠くでみつめていた老人と、
その孫の少年が、この話のもうひとりの主人公、エイティアン。
エイティアンとその祖父は、長くその土地に住んでいたインディアンでした。
アメリカの開拓時代の話といったら、『大草原のちいさな家』ですが、
マットとエイティアンの交流を軸に書かれたこの本も、ローラたちの
話のように、小さなエピソードを綴ったテレビドラマであったり、場面どごとに絵を
つけた絵本であったりしたらいいのに、読みながら思っていました。
ローラたちの話が、成長とともに長く続いていったように、青年になった
マットの話も読みたいし、立派は狩人になったエイティアンの手柄話も知りたいし。
マットの妹は、犬と仲良しになれたのだろうか、とか、10キロ離れた隣に
越してきたのはどんな人たちだったのかも、知りたいのです。
春にはじまって、クリスマスの前で、本は終わってしまいますが、
マットとエイティアンの話にすっかり入っていくには、十分過ぎる時間で、
じゅうぶん、ふたりの話の虜になってしまいました。
が、しかし。
続きの話を切望している気持ちとは裏腹に、13歳の少年の、春から冬への
半年で、物語が終わっていることの潔さも、実は強く感じています。
もう、二度と会うことはない、けれど、決して忘れることはない友と出会い、
過ごした夏の記憶が、マットとエイティアンの人生を支える源を流れていると
信じているからなのですが。
昨日の夕方、最後のページを読み終えたあと、むかし観た映画ー
「ダンス・ウィズ・ウルブス」を思い出しました。
南北戦争の北軍中尉だった主人公は、戦後最西端の砦へフロンティアとして
赴任し、そこでスー族と知り合い、最後にはスー族とともに生きていくことを
選択した‥そんなストーリーです。
ケビン・コスナー演じる主人公が、マットの将来と重なったわけではないのですが‥
あ、でもやっぱり、どこかで通じていると思ったから、思いだしのかもしれません。
ダンス・ウィズ・ウルブス